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FM浦和 森谷明仙 こころの日めくり

 

書へのオマージュ 森谷明仙ひとりごと
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          2024年11月15日
             2022年10月号から「SAITAMAねっとわーく」に掲載された
              「書の風景 こころの風景」を順番にお届けしています。

           書の風景 こころの風景(11) 「鳩よ 翔べ」 2023年8月号

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           夏の高い空を見上げていると
           死の行軍といわれたインパール作戦に
           通信兵として徴兵され
           そこで罹ってしまった
           マラリヤの後遺症に
           生涯苦しめられていた父の姿が思いだされて
           何も言えずに涙がこみあげてくる。

           また肩に受けた2発の銃弾は
           生涯とりだすこともできないまま残っていて
           それらは父の身体をむしばみつづけた。
           私はその父に筆をもたされて
           今の書道生活をしている。

           戦後といわれて78年。
           多くの悲しみと苦しみの犠牲のうえに
           不戦を誓ったはずなのに
           「人間であること」を忘れたかのような
           今の政治の冷酷さに胸が潰れそうになる。

           私たちはただ一人の命を救うために懸命に助けあう。
           ひるがえって人が人の命を奪いあうという
           「戦い」のむごさとその悲しみは例えることばも浮かばない。
           どれだけ沢山の人達の語り継げないほどの道のりを超えて
           「いま」があることだろう。
           もう再び戦争はしないと誓って
           私たちは歩いてきた。

           父の声がきこえる。
           お前の筆は何のためある!

           1949年「第1回平和擁護世界大会」のポスターは
           ピカソによる鳩の絵だった。
           以来、
           白い鳩は平和の象徴として
           私たちを導きつづけている。

            鳩よ翔べ。
                             森谷 明仙
                                (「SAITAMAねっとわーく」
                                  2023年8月号より)


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