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2024年9月15日 2022年10月号から「SAITAMAねっとわーく」に掲載された 「書の風景 こころの風景」を順番にお届けしています。 書の風景 こころの風景(9) 「高き峰へ」 2023年6月号より 筆を置いたら 生家の真正面から眺望できる北アルプス連山から やまびこが聞こえたような気がしてドキッとした。 山々は、今、残雪と新緑の季節だ。 幼い頃、夕焼けに、朝焼けに染まる山脈を見上げて まだ見ぬ世界を夢想した。 北アルプスの峰々の頂きは 雄大で、力強くて、やさしくて美しかった。 年を重ねた今も、あの気高い霊峰に想いを馳せ 「生きる」を誓ってしまう。 精一杯背伸びすることもある。 精一杯届きそうもない手を伸ばし続けることもある。 きっと届くと信じて、願って。 想いの強さは、どれだけ自分を強くしてくれることだろう。 年を重ねれば、重ねる程 目指す峰も高く遠くなっていくように思ってしまうけれど それはがんばってきた証と認め合いたい。 窓を開けたらみどり葉になった花水木の精たちが キラキラと光って応援歌を唄っている。 部屋の中にはすーっとひかりと風の訪問者たち。 その清々しさに大きく深呼吸をして もう一度、高き峰を想った。 森谷 明仙 (「SAITAMAねっとわーく」2023年6月号より) |
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