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FM浦和 森谷明仙 こころの日めくり

 

書へのオマージュ 森谷明仙ひとりごと
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            2024年8月15日
             2022年10月号から「SAITAMAねっとわーく」に掲載された
              「書の風景 こころの風景」を順にお届けしています。

          書の風景 こころの風景(7) 「やさしいあなたに」 2023年4月号より

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           ふるさと信州にも、遅い春が訪れていることだろう。
           雪に覆われていた土手や原の草たちは
           大地に蓄えられていたエネルギーを
           いっきに吸い上げて、放って
           緑萌える世界をつくっていく。

             黒い土の上にそっと手のひらをあててみた
             雪解け後のまだ湿り気の残っている
             枯草の上に寝ころべば
             背中に土の暖かさが
             じわーっと伝わってきて
             突然 身体中の血潮が動き始めた
             見上げれば高く青い空
             遠い日の記憶の中に今も戻る

           気がつけば随分と長い時間、机にすわって
           東の空を見上げていたような気がする。
           ショパンが幾度もグルグルと廻って
           「もう いいかい」と言っている。
           もうすぐ埼玉のけやきも芽が吹き始める。
           ことしもまた、生まれたばかりの黄緑色の新芽は
           たとえようもなく、瑞々しく
           生きる力を伝えてくれることだろう。
           けやきの精たちは、春陽の中でキラキラと輝いて
           やがてゆったりとした緑葉で街を覆っていく。
           そのけやきに憧れて、この地にやってきて
           四季折々けやきと共に暮らしてきた。
           毎日、毎日、次から次と色々あるけれど
           今日もけやきはひかる風を放って
           応援歌を歌い背中を押してくれている。

             元気にしてますね。笑ってますね。
             大丈夫ですね。
                           森谷 明仙
                           (「SAITAMAねっとわーく」2023年4月号より)

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