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2024年7月1日 書の風景 こころの風景 (22) 生家からみえる村のシンボルの聖山(ひじりやま)の頂を いつも見上げていた。 1447メートルの聖の山は いつも穏やかに聳えていて 村人たちの営みを見守ってくれていた。 連なる山々に抱かれるようにして 青春の時代を過ごした。 半世紀以上もたった今も その時の自分の姿がまるで映像のように甦ってくる。 50才になった時 これからは毎年、1才ずつ引いて 子どもの頃のような気持ちのままで 筆を持てたらどんなにいいだろうかと 夢のようなことを思った。 70歳を迎える頃も そんなことを真剣に考えていた。 けれど現実はなかなかどうして 決意をするまでもなく いくつになっても大人になりきれない自分を 抱えて書き続けている。 それが良いことか、ダメなことなのか わからないけれどそんな風にしか出来ないのだ。 初夏のひかりに誘われて 手つかずになっていた庭に出た。 雑草が手入れを待っていた。 「ごめんね」。 つぶやきながらその根元に手をそえたら 黒い土からぷーんと甘い匂いが立ち上がってきた。 思わず湿った土の上に手のひらをおいた。 土の温もりが伝わってきて その暖かさが身体の中に染み込んでいく。 植物たちは自分の養分を土に与え続けて 大地を守ってくれていた。 「土も私も生きている」 森谷 明仙 (「SAITAMAねっとわーく」2024年7月1日号より) |
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