title  
line decor

FM浦和 森谷明仙 こころの日めくり

 

書へのオマージュ 森谷明仙ひとりごと
image
            2024年6月1日  書の風景 こころの風景 (21)

画像


             「コッブの水が一杯になって
              ついに溢れちゃったね。」
             診察室でM先生は言った。
             私は力ない笑顔で「ほんとうに」と頷いた。
             どれだけ年を重ねても相変わらず
             不器用にしか生きられない自分がもどかしい。
             一週間後
             「大丈夫だから行ってらっしゃい」と励まされて
             2キロ入りのさくら色のペンキ缶と
             大量の墨液を持って
             東日本大震災以来続けてきた
             信州・小諸駅前公園での復興支援
             「さくらさくライブ」に向かった。
             今年は能登の皆さんの輪島塗などの
             出店も迎えての開催となって
             募金も過去最高だったと
             実行委員長さんから嬉しい報告を頂いた。
             今回は、この「ライブ」のテーマソングを
             10メートルの正面看板に書くことが私の役割。
             作詞・作曲されたシンガーソングライターの
             赤塩正樹さんも駆けつけて下さって、
             即興のコラボとなった。
             打ち合わせは直前の数分だけ。
             お互いのパフォーマンスで整えていく。
             体調の不安をもちながらの参加だったが
             皆さんの熱い心意気と、背中に感じる笑顔。
             一番元気をもらったのは私だったかもしれない。
             気がつけばコッブから溢れていた水は
             大地が吸い込んでくれていた。
               乾かぬうちに
               花を植えましょ
               あした咲くために
                         森谷 明仙
                         (「SAITAMAねっとわーく」2024年6月号より)


画像

画像



Copyright (c) 2008 Bokusya Meisen Moriya All right reserved.
※このホームページに掲載されている記事・写真・図画等の無断転載・複製を禁じます。