title  
line decor

FM浦和 森谷明仙 こころの日めくり

 

書へのオマージュ 森谷明仙ひとりごと
image
          2024年4月15日
           2022年10月号から「SAITAMAねっとわーく」に掲載された
           「書の風景 こころの風景」を順にお届けしています。


           書の風景 こころの風景(3) 「慈愛」(2022年12月号)

画像

             「慈愛」の書を初めて書いたのは
             40代の後半だった。
             その後、心の揺らぎがある度に
             「慈愛」と向きあってきた。
             震災の時に、大事な人を見送った日に
             そして12月8日反戦・平和を
             願った日に。
             書き続けている私と書を見て
             友は言った。
             「観音様のような“慈愛”を
             書いてほしい」と。
             何と難しいことか。
             書き続けて、書き続けて、ある時
             その書の中に母の凛とした笑顔を見た。
             今回も個展にむけて
             やっぱり書き続けてしまった。
             表装されてきた「慈愛」の書の
             「慈」の一画目、二画目の
             2つの点の中に
             私の瞳が写っているように見えて
             一瞬、言葉を失った。
             その時々の心の「変化」が筆に伝わり
             表情がかもし出されて
             和紙の上に落ちる。
             「慈愛」の書の中に
             自身の意志と安らぎをもとめていたのだと
             今更ながらに思ってしまった。
                           森谷 明仙
                            (「SAITAMAねっとわーく」2022年12月号より)


Copyright (c) 2008 Bokusya Meisen Moriya All right reserved.
※このホームページに掲載されている記事・写真・図画等の無断転載・複製を禁じます。