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2024年4月1日 書の風景 こころの風景(19) 物心がついた頃から、 いつも身体のひ弱さとつきあってきた。 70をとうに過ぎた今もその延長で 体調の不振は精神のあやうさと 直結するのでしんどい。 だが不思議なことに、そんな時でも 筆を持てば身体の中の不安さは 忘れたように遠退き、消えていく。 墨の香が落ち着かせてくれるのか それとも半紙の上で 自分が解放されていくのか。 きっと両方なのだと思う。 その時のその瞬間の思いが 墨と筆のちからを借りて 強くなったり弱くなったりして そのまま半紙に映っていく。 それは、自身の分身との会話で 安心の時だ。 共感と希望のために わたしはわたしを探す こころあわせのとき 筆はささやく いろはにほへと いぬふぐり咲き さくら花 舞う 「書くことばも書の表しも 身体の中から自然に生まれてきている。 自然があなたをつくっている。 これはあなた自身だね。」 10数年も前になるが 個展の会場でかけていただいた 建築家の先生のことばに、以来、 どれほど励まされてきたことだろう。 森谷 明仙 (「SAITAMAねっとわーく」2024年4月号より) |
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