title  
line decor

FM浦和 森谷明仙 こころの日めくり

 

書へのオマージュ 森谷明仙ひとりごと
image
          2024年3月1日 書の風景 こころの風景 (18)


画像


         立春の翌日の大雪。
         ストーブの燃える音を聞きながら
         降りしきる雪を見つづけていたら
         その向こう側に雪深い故郷があった。
         外は凍える程に寒いのにどうしてなのだろう、
         気持ちはこんなに柔らかくて、穏やかだ。
         乾いた身体の中に清らかな水が
         流れ込んで湿っていくような瑞々しい感覚がうれしい。
         ああ 自然のありようとは
         こんなにも身体も心も潤してくれるものなのかと
         こんこんと降る雪を見つめ続けた。
         私たちは四季折々自然の恵みを全身に受けて生きている。
         けれどその清らかな自然は
         時として想像もつかぬ程の勢いで襲いかかってもくる。
         私たちはその美しさと厳しさの中で
         支え合い、助け合い、「生きる」を学んできた。
         思いがけない都会での雪の舞いは、
         ふるさとへの憧憬と重なって心にしみる応援歌だった。

           雪降るなかで生き
           風吹くなかで生き
           雨降るなかで生き
           土とともに生きる
           握りこぶし固めて
           唄うのさ
           握りこぶし固めて
           唄うのさ
           いのち燃ゆ

         筆を置いて、「あ」の字の二画目の縦線は、
         やっぱり芯棒だとしみじみと思った。

                         森谷 明仙
                         (「SAITAMAねっとわーく」 2024年3月号)


Copyright (c) 2008 Bokusya Meisen Moriya All right reserved.
※このホームページに掲載されている記事・写真・図画等の無断転載・複製を禁じます。