title  
line decor

FM浦和 森谷明仙 こころの日めくり

 

書へのオマージュ 森谷明仙ひとりごと
image
   2024年1月21日 書の風景 こころの風景 (16) 

画像


              冬陽に誘われて自転車を走らせていたら
              急に冷たい風がひんやりと頬をさすった。
              見上げれば真っ青な空。
              自転車を止めて高く澄み渡っている空を見上げた。
              身体まで吸い込まれてしまいそうな
              浮きあがって行ってしまいそうな雲ひとつない空。
              ああ この同じ空の下で
              戦場の子どもたちは
              今も恐怖におののき 震え
              傷ついているのだろうかと思ったとたん
              勝手に涙が込み上げてきた。
              「希望」とか「夢」とか「ひかり」とか
              生活の中に当然のようにあったそれらが
              容赦なく奪われていく。
              まるで「戦前」の一場面が
              タイムスリップしたかのような毎日の報道に
              悲しみと憤りしか表せない自分がもどかしい。
              新しきにむけて準備していた新しい筆をおろし
              1000枚の半紙の束を紐といた。
              墨は和墨と唐墨と そこにわずかな青墨を
              すり込んでみた。
              青墨は青い空への願いだ。
              古代文字で 「舞」。
              両手をいっぱいに拡げて、あしたを信じて
              精一杯に舞いたいと思う。
                              森谷 明仙
                        
                         (「SAITAMAねっとわーく」 2024年1月号より)


Copyright (c) 2008 Bokusya Meisen Moriya All right reserved.
※このホームページに掲載されている記事・写真・図画等の無断転載・複製を禁じます。