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3月11日 王羲之 特別展を観に行ってきました(その2) 「行穣帖」(こうじょうじょう)という作品があります 王羲之 特別展の チケットやチラシに使われています その「行穣帖」の前に 立った瞬間 動けなくなってしまった 書簡の一部で たったの二行 十五文字 王羲之の肉筆は 現在一点も残されていない いま私たちが見ることができるのは すべて 摸本や拓本でしかない この「行穣帖」も 唐の時代に 宮廷で 「搨書手」(とうしょしゅ)と言われる 専門職人によって 王羲之の原跡から敷き写し つくられた摸本 にもかかわらず 何ていうことだろう 命を吹き込まれた筆は 勢い 紙の上を滑り出し いまにも 飛び出してきそう ほとばしるような 爽やかさ 何とも言えない 強さと風格 その洗練された 線の美しさに ただただ 釘づけになってしまった 王羲之が生きたのは晋の時代 後の唐の時代になって 大宗皇帝は 王羲之の書をこよなく愛し 宮廷で 数えきれないほどの摸本をつくらせた 特別展の解説のなかに この「行穣帖」は 「極めて精巧な もっとも華やかな 来歴を誇る名品」 とあった 1600年という 想像もつかない長い時代を経て いまもこのように 輝きを放しつづけ 壮大なロマンを語りつづけている 「普遍的な美しさ」とは このようなことを言うのかと 心のなかに刻みながら 書のむこう側にいる 人間 王羲之を 仰ぎ見ていた 書道学校時代に学んだ 教科書をひも解いてみた 森谷 明仙 |
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